「エンビー(envy)」と「ジェラシー(jealousy)」

このような、自分よりも上の他者を破壊しようとする、後ろ向きで未熟な嫉妬心は、エンビー型嫉妬と呼ばれている。


(中略)


ただ、嫉妬は嫉妬でも、いい嫉妬、組織に必要な嫉妬もある。
これは前述のエンビー型嫉妬に対し、ジェラシー型嫉妬と呼ばれている。


ジェラシー型嫉妬は、「あの人のようになりたい」「あの人には負けたくない」と、相手をライバル視することで、自分の能力を伸ばそうとする人間を成長させるポジティブな感情だ。

「有能な部下はいらない!」上司の嫉妬と出世欲:日経ビジネスオンライン

これを読んで,エンビー(envy)とジェラシー(jealousy)の使われ方が逆のような気がしました.

"I'm envious of you!" は「うらやましいなあ!」ぐらいだけど,"I'm jealous of you!"と言ったら,「何でお前だけ?ずるいぞ!」みたいなニュアンスがある,という風に覚えていたので.


記憶の元は,「DUO3.0」のコラムでした.

例えば,「彼に口説かれちゃった.」と言う発言に対して I envy [am envious of] you. と言えば,「うらやましいわ.でも,よかったね.」という気持ちが伝わるが,I am jealous of you. と言うと,「何よっ! ちょっとひどいんじゃないの.私も好きだったのに.」くらいの感情を伝えることになるので注意しよう.

DUO3.0

明らかにenvyの方が前向きな感じです.


念のため別のソースを当たってみました.

jealous
(中略)enviousより語感が強く,憎しみや怒りの気持ちを含む.(後略)


envy
(中略)jealousyはうらやみから相手への憎しみや憤慨まで含む.(後略)

ジーニアス英和辞典


Oxford Dictionary of EnglishとOxford Advanced Learner's Dictionaryも調べましたが,envyとjealousを対比させるような説明はありませんでした.


一方,Wikipediaには以下のような記述が.

"Envy" and "jealousy" are often used interchangeably, but in correct usage, both words stand for two different distinct emotions. In proper usage, jealousy is the fear of losing something that one possesses to another person (a loved one in the prototypical form), while envy is the pain or frustration caused by another person having something that one does not have oneself. Envy typically involves two people, and jealousy typically involves three people.


"envy"と"jealousy"はしばしば交換可能であるかのように使われるが,正しい用法としては,二つの単語ははっきりと区別できる異なった感情を表す.適切な用法では,"jealousy"は,保有している何かを別の人のせいで失ってしまうことへの恐れ(典型例としては,恋人),であり,一方"envy"は,自分自身が持っていない何かを持っている他人によって引き起こされる苦痛や不満,である."envy"は通常二人の人間に関係し,"jealousy"は通常三人に関係する.

Envy - Wikipedia, the free encyclopedia

正確には,前向きだの後ろ向きだのという区別は無いみたいですね.元々持っていないものを欲しいと思う(envy)か,持っている物を失いたくないと思う(jealousy)か,の違いのようです.*1


ただ,慣用的にjealousはかなりネガティブな表現と取られる場合もある
と言うことは,覚えておいた方が良さそうです.


DUO 3.0

DUO 3.0

*1:だとしても,上の記事の使われ方はやはり逆のような気がするが